「それはスポハラかも?」と気づくために
2026/10/21

「それはスポハラかもしれない」と気づくために
今回は、スポーツハラスメント(以下、スポハラ)について、
一緒に考えてみたいと思います。
保護者の皆さんは、スポハラと聞くと、どのような行為を思い浮かべますか?
殴る、蹴るといった暴力行為は、スポハラだと判断しやすいかもしれません。
一方で、次のような行為はどうでしょうか。
・侮辱的な言葉や人格を否定する言葉、威圧的な叱責
・いじめや仲間外し、無視など、心を傷つける行為
・「勝利のため」「愛のムチ」といった考え方を理由に、相手の尊厳や心身の安全を損なう行為
こうした行為は、チームの伝統や習慣、指導者と選手の関係性など、
集団の中にあるさまざまな環境要因と結びついていることがあります。
そのため、保護者自身がスポハラだと気づけなかったり、違和感を覚えても
「スポーツの世界では当たり前のこと」と受け止めてしまったりすることがあります。
また、指導者自身も、自分の指導がスポハラにあたるとは気づかず、
子どもの成長や勝利を願い、真剣に指導している場合があります。
つまり、誰かが悪意を持っているかどうかだけではなく、
スポハラに気づきにくい環境そのものにも目を向ける必要があるのです。
では、なぜ、そのようなことが起こるのでしょうか。
元バレーボール日本代表の益子直美さんと川合俊一さんの対談の中で、
益子さんは現役時代を振り返り、次のように語っています。
「負けることは“悪”で、負けることは恐怖」
「途中でやめた人間は裏切り者扱い」
「自分の為ではなく、先生のためにバレーボールをしていた」
「(対戦)相手をたたえるという気持ちはなく」
「言われたことをするだけで、~スポーツを通して人間力が成長したわけではない」
※引用は対談での発言をもとにしています。
これらの言葉から考えさせられるのは、勝つことや指示に従うことが優先されるあまり、
スポーツ本来の楽しさや、相手を尊重する心、
自ら考えて行動する力が育まれにくくなることもある、という点です。
スポーツは、勝利を目指すことだけが目的ではありません。
仲間と協力すること、相手を尊重すること、挑戦すること、失敗から学ぶこと。
そうした経験を通して、子どもたちが自分らしく成長できることも、
スポーツの大切な価値ではないでしょうか。
だからこそ、これからスポーツに取り組む子どもたちの保護者の皆さんに、
スポーツの本質や醍醐味をあらためて知っていただきたいと思います。
そして、スポハラの定義を知り、
身近な環境にある小さな違和感にも目を向けていただけたらと願っています。
誰かを責めるためではなく、
子どもたちの尊厳を守り、安心してスポーツを楽しめる環境をつくるために。
そのための学びの機会として、今回は二つの取り組みをご紹介します。
① JSPO(日本スポーツ協会)の「NO!スポハラ活動」
日本スポーツ協会(JSPO)では、「NO!スポハラ活動」の一環として、
スポーツハラスメントの防止・啓発セミナーを開催しています。
今年度は、10月24日の東京会場を皮切りに、全国6か所で計7回のセミナーが開催されます。
すでに保護者や指導者の参加が定員に達している会場もあるとのこと。
スポハラについて関心を持ち、正しく学ぼうとする方が増えていることを、心強く感じます。
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② 一般社団法人スポーツハラスメントZERO協会
スポーツハラスメントZERO協会では、
スポーツハラスメント初級検定やセーフガーディング検定などを実施しています。
また、保護者や指導者が抱える悩みに寄り添い、
具体的な対処方法などを学び、共有できる場づくりにも取り組んでいます。
知ること、学ぶこと、そして周囲と考えること。
その一歩が、子どもたちを守る力につながるのではないでしょうか。
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子どもたちが、誰かの期待に応えるためだけではなく、
自分自身の成長や喜びのためにスポーツを楽しめるように。
保護者も指導者も、ともに学び、考え、よりよいスポーツ環境をつくっていけたらと思います。