からだの動きLABOが、AIによる可視化を取り入れている理由
2026/11/05からだの動きLABOでは、
3年前からAIによる姿勢診断や歩行動作診断などを行っています。
AIの流行に乗ったわけではありません。
私たちがAIを取り入れたのは、「可視化する」ということに
大きなメリットと必要性を感じたからです。
その理由は、大きく2つあります。
一つ目は、自分自身の経験からです。
私は、小学校2年生から大学4年生まで陸上競技に取り組んできました。
当時、自分自身のパフォーマンスを知る手段は、
🔶 コーチが見た私
🔶 親が見た私
🔶 チームメイトが見た私
🔶 自分自身が気づいている私
といったものでした。
当時のコーチングでは、改善点を見つけたり、新たな挑戦につなげたりするための情報として、
「コーチが見た私」を筆頭に、誰かの目を通して得られた情報が圧倒的に多かったように思います。
もちろん、周囲の人から見た自分を知ることは大切です。
ただ、実際に自分のからだを動かし、パフォーマンスとして表現するのは、自分自身です。
だからこそ、自分のからだが今どのような状態にあるのか、自分自身を知り、可視化することも、
スキルを磨いていくうえで大切なのではないかと感じていました。
二つ目は、「見ていること」と「見抜けていること」は、
必ずしも同じではないという仮説です。
からだの動きを見る立場にある人が、実は気づけていないこともあるのではないか。
私は、そんな問題意識を持っています。
例えば、
〇 成長期に起こるからだの変化
〇 日常生活やスポーツの中で身についた動作習慣
〇 骨格的な特徴
こうした要素は、一人ひとり異なります。
そして、それらが複雑に関係し合うことで、本人が感じている「できない理由」や、
まだ十分に発揮できていない「強み」が隠れていることもあります。
AIによるデータは、そうしたことに気づくための一つの手段になると考えています。
実際に、フォワードを務めるサッカー少年が、相手との接触によるケガを頻繁に起こすようになった際、
姿勢分析を行ってみると、重心の位置が本来の中心よりもかなり前方に移動しており、
太ももの前側の筋肉の動きにも制限が見られました。
このような発見は、決して珍しいことではありません。
本人は一生懸命に頑張っている。
それなのに、思うような動きができなくなっている。
そんなとき、本人は「努力が足りないのかな?」と考え、
コーチは「お前、最近どうしたん?」と声をかける。
しかし、肝心の原因が分からなければ、
解決の糸口を見つけられないままになってしまうこともあります。
一方で、AIにも、まだ見抜けないことがあると分かっています。
例えば、AIによる姿勢診断で猫背と判定されなかったからといって、
骨格的な特徴や動作上のリスクがないとは限りません。
実際に、Jr.アスリートの中には、副鼻腔炎を抱えているお子さんも少なくありません。
慢性的な症状がある場合、
呼吸の状態や胸郭周辺の動きに影響が生じている可能性があります。
例えば、肋間筋の動きに制限が生じることで、肋骨の動きやポジションにも影響し、
走る際に脇が開いたり、骨盤から前に進む動きがうまく出せなかったりするケースも考えられます。
こうした情報まで読み解くには、AIの性能だけでなく、AIを使う側の知識や経験も必要になります。
AIは、あらゆることを見抜けるわけではありません。
また、指導者にもそれぞれ専門分野があります。
だからこそ、AIによって得られた情報を、
そして、自分のからだにどのような特徴があり、それが動きにどう影響しているのかを参考にする。
そのうえで、今の自分に必要な対応策を考え、工夫し、実践していく。
つまり、自分のパフォーマンスを自分自身で育んでいくための動機づけとして、
AIによる可視化を役立ててほしいのです。
「何が原因なのか分からない」
「どうすれば改善できるのか分からない」
そんな“分からない何か”を改善することは、大人にとっても簡単ではありません。
だからこそ、自分のからだの状態を見える化し、分析することも含めて、
スポーツを楽しんでもらいたい。
AIを使うことが目的なのではなく、
AIをきっかけに、自分自身を知り、自分で考え、自分の可能性を育てていく。
からだの動きLABOは、そんな活用の仕方を大切にしています。